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精神障害の労災認定における心理的負荷の評価②-2仕事の失敗、過重な責任の発生


精神障害の労災認定は、業務による心理的負荷を業務による心理的負荷評価表の具体的出来事に当てはめて評価をします(心理的負荷の評価の仕方参照)。具体的な出来事の類型の②仕事の失敗、過重な責任の発生等を取上げます。

達成困難なノルマが課された

 平均的な心理的負荷の強度はⅡとされています。心理的負荷の総合評価は、ノルマの内容・困難性・強制の程度、達成できなかった場合の影響・ペナルティの有無等、その後の業務内容・業務量の程度、職場の人間関係等により行います。

 認定基準は、達成は容易ではないが、客観的にみて、努力すれば達成可能であるノルマが課され、達成に向けた業務を行ったことを想定しています。そのため、心理的負荷表に具体例として挙げられているのは、心理的負荷の強度が「中」になるものです。

 客観的に、相当な努力があっても達成困難なノルマが課され、達成できない場合に重いペナルティがあると予告された場合を心理的負荷の強度が「強」になる例として挙げています。

 達成困難なノルマを課されたのが、発病前6か月前より前であっても、発病前6か月間にノルマ達成のための対応を行っている場合は、この項目で評価します。

ノルマが達成できなかった

 平均的な心理的負荷の強度はⅡとされています。達成できなかったことによる経営上の影響度、ペナルティの程度、事後対応の困難性等により心理的負荷の総合評価を行います。

 ノルマが達成できなかったことにより、昇進の遅れ等のペナルティがあった場合を想定しています。

 期限内にノルマが達成できなかった場合は、もちろん、期限前にノルマが達成できないことが明らかになった場合も含みます。

 課されたノルマが、業務上明らかに不要なことや、遂行不可能なことを強制する等の過大な要求に該当する場合は、パワハラとして評価します。

新規事業、会社の建て直しの担当になった 

 平均的な心理的負荷の強度はⅡとされています。新規事業の内容、本人の職責、困難性の程度、能力と業務内容のギャップの程度、その後の業務内容・業務量の程度、職場の人間関係等により心理的負荷の総合評価を行います。

 失敗すると倒産を招きかねないもの、大幅な業績悪化につながるもの、会社の信用を著しく傷つけるもの、成功した場合に会社の新たな主要事業になるもの等の担当で、事業の成否に重大な責任のある立場に就き、その業務に当たった場合は心理的負荷の強度は「強」とされています。

顧客や取引先から無理な注文を受けた

 平均的な心理的負荷の強度はⅡとされています。顧客・取引先の重要性、要求内容、事後対応の困難性等により心理的負荷の総合評価を行います。

 業務に関連して、顧客・取引先から大幅な値引き等の無理な注文を受け、何らかの対応を行ったことが想定されています。

 違法な内容を含む注文等通常なら拒むことが明らかな注文であるが、重要な取引先からのものであるので、引受け、他部門や別の取引先と困難な調整に当たった場合は心理的負荷の強度は「強」とされています。

顧客・取引先からクレームを受けた

 平均的な心理的負荷の強度はⅡとされています。顧客・取引先の重要性、会社に与えた損害の内容・程度、事後対応の困難性等により心理的負荷の総合評価を行います。

 顧客・取引先から大口の顧客等の喪失を招きかねないような重大なクレームを受け、クレーム解消のため他部門や別の取引先と困難な調整に当たった場合の心理的負荷の強度は「強」とされています。

カスタマーハラスメントについて

 いわゆるカスタマーハラスメントについては、別の類型・出来事で評価されます(精神障害の労災認定における心理的負荷の評価-カスタマーハラスメント-参照)。


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