労災の業務上疾病の内、ウィルス肝炎の労災認定基準を取上げます。
ウィルス肝炎と労災
ウィルス肝炎は、A型・B型・C型・D型・E型が存在します。B型肝炎とC型肝炎は、手術や人工透析等の際に注射針等によって、感染者の血液が付着し感染することがあります。
そこで、医師・看護師・介護業務従事者や研究者が業務遂行中にB型肝炎又はC型肝炎に感染した場合、業務上疾病として扱われます。
C型肝炎、エイズ及びMRSA感染症に係る労災保険における取扱いについて(平成5年10月29日基発第619号)
ウィルス肝炎のうち、C型肝炎について、労災認定基準が定められています。認定基準は、急性肝炎と慢性肝炎に区分しています。
C型急性肝炎
以下の要件をすべて充足する場合は、労災と認定されます。
C型急性肝炎が労災と認定される要件
①C型急性肝炎の症状が見られる
②HCVに汚染された血液等を取扱う業務に従事し、かつ、当該血液等に接触した
③HCVに感染したと推定される時期からC型急性肝炎の発症までの時間的間隔が、C型急性肝炎の潜伏期間と一致する
④C型急性肝炎の発症以後、HCV抗体又はHCV-RNAが陽性と診断されている
⑤業務以外の原因によるものでない
C型慢性肝炎
上記のC型急性肝炎の要件をすべて満たす業務に起因するC型急性肝炎の既往事実があると認められる場合のC型慢性肝炎は、労災と認定されます。
C型急性肝炎の既往事実が確認できない場合は、受傷等が認められ、受傷後のHCV抗体が陽性化する等、受傷以前からHCV感染が明らかに否定され、かつ、業務以外の原因によるものでない場合に労災と認定されます。