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じん肺により死亡した場合の損害賠償請求権の消滅時効(労災の損害賠償)


じん肺により労働者が死亡した場合の使用者に対する安全配慮義務違反に基づく損害賠償の消滅時効の起算点を判断した最高裁判決を紹介します。

筑豊じん肺事件(最高裁平成16年4月27日判決)

 じん肺にり患した労働者が、使用者に安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求を行う場合、消滅時効の起算点は、最終の行政上の管理区分の決定を受けたときです(じん肺の損害賠償請求と消滅時効参照)。

 この判決では、じん肺にり患した後、死亡した場合の損害賠償請求権の消滅時効の起算点が、問題になりました。すなわち、管理区分の決定を受けた時が消滅時効の起算点なのか?それとも、その後、じん肺によって死亡した時が、消滅時効の起算点なのか?という問題です。

事案の概要

 上告人は、筑豊地区に所在する二瀬炭鉱、嘉穂炭鉱等を経営していた会社であり、被上告人らは、これらの炭鉱で粉じん作業に従事したことによりじん肺にり患したと主張する者又はその承継人である。本件は、被上告人らが、上告人は、雇用者として、坑内作業場における適切な粉じん対策を講ずるなどして従業員がじん肺にり患し又は増悪させることのないように配慮すべき義務があるのにこれを怠ったと主張して、上告人に対し、安全配慮義務違反を理由とする損害賠償を求めた。

最高裁の判断

 最高裁は、じん肺により死亡したときから消滅時効が進行すると判断しました。

 雇用者の安全配慮義務違反によりじん肺にかかったことを理由とする損害賠償請求権の消滅時効は、じん肺法所定の管理区分についての最終の行政上の決定を受けた時から進行すると解すべきであるが、じん肺によって死亡した場合の損害については、死亡の時から損害賠償請求権の消滅時効が進行すると解するのが相当である。

 その者が、じん肺法所定の管理区分についての行政上の決定を受けている場合であっても、その後、じん肺を原因として死亡するか否か、その蓋然性は医学的にみて不明である上、その損害は、管理二〜四に相当する病状に基づく各損害とは質的に異なるものと解されるからである。


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