労災の業務上疾病の内、アスベスト(石綿)による疾病の労災認定基準を取上げます。
アスベストによる疾病
アスベストは耐火・断熱材として、建築物を中心に大量に使用されていました。しかし、アスベストに発がん性があることが判明し、製造・使用等が禁止されています。
しかし、禁止措置が遅れたことで、建設労働者を中心にアスベストに被曝した労働者が、アスベストによる疾病にり患する事案が増加しています。
石綿による疾病の認定基準につて(平成24年3月29日基発329第2号)
アスベストによる疾病の労災認定基準は、対象疾病ごとに、認定基準を定めています。
アスベストによる疾病の種類
認定基準が定めるアスベストによる疾病は、以下の5つです。
労災認定基準におけるアスベストによる疾病の種類
①石綿肺
②肺がん
③中皮腫
④良性石綿胸水
⑤びまん性胸膜肥厚
石綿ばく露作業
認定基準は、アスベストに被曝したと考えられる作業を石綿ばく露作業と定義し、次のように分類しています。
そして、石綿ばく露作業に従事しているか、過去に従事していた労働者を石綿ばく露労働者と定義しています。
石綿ばく露作業
(1)石綿鉱山又はその附属施設において行う石綿を含有する鉱石又は岩石の採掘、搬出又は粉砕その他石綿の精製に関連する作業
(2)倉庫内等における石綿原料等の袋詰め又は運搬作業
(3) 次のアからオまでに掲げる石綿製品の製造工程における作業
ア 石綿糸、石綿布等の石綿紡織製品
イ 石綿セメント又はこれを原料として製造される石綿スレート、石綿高圧管、石綿円筒等のセメント製品
ウ ボイラーの被覆、船舶用隔壁のライニング、内燃機関のジョイントシーリング、ガスケット(パッキング)等に用いられる耐熱性石綿製品
エ 自動車、捲揚機等のブレーキライニング等の耐摩耗性石綿製品
オ 電気絶縁性、保温性、耐酸性等の性質を有する石綿紙、石綿フェルト等の石綿製品(電線絶縁紙、保温材、耐酸建材等に用いられている。)又は電解隔膜、タイル、プラスター等の充填剤、塗料等の石綿を含有する製品
(4) 石綿の吹付け作業
(5) 耐熱性の石綿製品を用いて行う断熱若しくは保温のための被覆又はその補修作業
(6) 石綿製品の切断等の加工作業
(7) 石綿製品が被覆材又は建材として用いられている建物、その附属施設等の補修又は解体作業
(8) 石綿製品が用いられている船舶又は車両の補修又は解体作業
(9) 石綿を不純物として含有する鉱物(タルク(滑石)等)等の取扱い作業
(10) (1)から(9)までに掲げるもののほか、これらの作業と同程度以上に石綿粉じんのばく露を受ける作業
(11) (1)から(10)までの作業の周辺等において、間接的なばく露を受ける作業