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複数事業労働者の労災保険給付における給付基礎日額の算定


複数事業労働者の労災保険給付に関し、給付基礎日額の算定について取上げます。

複数事業労働者の労災保険給付

 A社とB社の異なる2社に雇用されている労働者の労災保険給付については、給付基礎日額を合算します(労災保険法8条3項)。つまり、労災事故発生時に、A社とB社の2社に雇用されている場合は、それぞれの給付基礎日額を合算します。

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以下の「複数事業労働者の労災保険給付」も参照

複数事業労働者の労災保険給付

労災保険法が改正され、複数事業労働者の労災保険給付の規定が新設されました。その概略を解説します。

 A社とB社の2社に雇用されていた労働者が、A社での業務により業務上疾病の原因となる有害因子にばく露した後、業務上疾病を発症したが、発症時にはB社を退職していたというようなケースでは、給付基礎日額の算定は、どうなるのでしょうか?

事業ごとに給付基礎日額を算定

 複数事業労働者の給付基礎日額は、A社とB社、それぞれの給付基礎日額を算定した上で、両者の給付基礎日額を合算します。

平均賃金の算定期間

 給付基礎日額は、労基法12条の平均賃金に相当する額です。平均賃金の算定期間は、傷病等の発生した日又は診断により疾病の発生が確定した日(算定事由発生日)以前3か月間です。なお、賃金締切日がある場合は、事業場ごとに、算定事由発生日から直近の賃金締切日から算定します。

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詳しくは、以下の記事参照

給付基礎日額の算定期間(労災保険の基礎)

労災保険の各種給付の基礎となる給付基礎日額の算定期間について説明します。

 これは、複数事業労働者の労災保険給付でも同様です。

複数事業労働者に類する者の場合

 複数事業労働者には、複数事業労働者に類する者が含まれます(労災規則5条)。複数事業労働者に類する者とは、傷病等の原因となる事由が生じた時点で事業主が異なる2以上の事業に同時に使用されていて、業務災害、複数業務要因災害、通勤災害のいずれの場合も、算定事由発生日に2以上の事業に使用されていない者のことです。

 複数事業労働者に類する者の場合、算定事由発生日を基準に、その日以前3か月間に支払われた賃金により、平均賃金を算定します。

 算定事由発生日以前の3か月間において、1つの事業場のみから賃金の支払を受けていない場合は、その事業場のみの平均賃金で給付基礎日額を算定します。

算定事由発生日に平均賃金を算定すべき事業場から離職している場合

 遅発性疾病等、診断が確定した日に、すでに当該疾病の発生のおそれのある作業に従事した事業場を離職していることがあります。

 このような場合、疾病の発生のおそれのある作業に従事した最後の事業場を離職した日以前3か月間に支払われた賃金により算定した金額を基礎に、診断が確定した日までの賃金水準の上昇・変動を考慮して算定します。

 離職時の賃金が不明な場合は、算定事由発生日における同種労働者の1日平均の賃金額等に基づいて算定します。

 以上を前提に、複数事業労働者の労災保険給付における給付基礎日額の算定は、どうなるのでしょうか?

複数事業労働者の業務上災害・通勤災害

 業務災害又は通勤災害に係る事業場である災害発生事業場等を離職した日を基準に、上記と同様に算定します。

 災害発生事業場等を離職している場合の非災害発生事業場等の平均賃金は、算定事由発生日に当該事業場を離職しているかどうかにかかわらず、災害発生事業場等を離職した日から3か月前の日を始期として、災害発生事業場等を離職した日までの期間中に、非災害発生事業場等から賃金の支払を受けている場合は、災害発生事業場等を離職した日の直前の賃金締切日以前3か月間に非災害発生事業場等の賃金により、上記と同様に算定します。

 この期間中に、非災害発生事業場等から賃金の支払を受けていない場合は、非災害発生事業場等の平均賃金は算定されません。

複数業務要因災害の場合

 複数業務要因災害は、いずれの事業場においても業務と疾病との間に相当因果関係が認められません。

 遅発性疾病等の診断が確定した日において、いずれかの事業場に使用されている場合は、当該事業場について、診断確定日以前3か月間に支払われた賃金により平均賃金を算定します。

 賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から算定するのは、同様です。

 診断確定日から3か月前の日を始期として、診断確定日までの間に、他の事業場から賃金の支払を受けている場合は、当該事業場の平均賃金を直前の賃金締切日以前3か月間の賃金により算定します。

  この間に、他の事業場から賃金の支払を受けていない場合は、当該事業場の平均賃金は算定されません。

 診断確定日において、すべての事業場から離職している場合は、診断確定日から直近の離職日(最終離職日)を基準に、最終離職日以前3か月間に支払われた賃金により、上記のとおり算定します。

 最終離職日に係る事業場以外の事業場は、最終離職日から3か月前の日を始期として、最終離職日までの間に他の事業場から賃金の支払を受けている場合は、最終離職日から直前の賃金締切日以前3か月間に支払われた賃金により算定します。

 この間に、他の事業場から賃金の支払を受けていない場合は、平均賃金を算定しません。

業務上の事由による休業の控除

 平均賃金の算定に当たっては、業務上の傷病による休業等を期間中の日数と賃金を控除します。

給付基礎日額の算定期間(労災保険の基礎)

労災保険の各種給付の基礎となる給付基礎日額の算定期間について説明します。

 複数事業労働者の場合は、事業場ごとに算定します。

 控除の対象となる業務上の傷病による休業又は通勤による休業は、災害発生事業場等における業務上の事由による休業又は通勤による休業です。非災害発生事業場と複数業務要因災害の各事業場では、使用者の帰責事由によらない休業として扱います。


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