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パワハラによる精神障害の労災認定基準


精神障害の労災認定基準の具体的出来事に、パワハラが明記されました。その概要を紹介します。

精神障害の労災認定

 精神障害の労災認定は、認定基準に基づいて行われています。認定基準には、業務による心理的負荷評価表があります。精神障害の発病前6か月間に認められた業務による出来事が、心理的負荷評価表の具体的出来事のどれに当たるかを判断しています。

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詳しくは、以下の「心理的負荷の評価の仕方」を参照

心理的負荷の評価の仕方(精神障害の労災認定基準)

精神障害の労災認定基準において、心理的負荷の強度をどのように評価するのか?を解説します。

パワハラによる精神障害の労災

 精神障害の労災請求は、職場の人間関係を原因とするものの件数が多くなっています。精神障害の労災認定に際し、パワハラは、具体的出来事の①ひどい嫌がらせ・いじめ又は暴行を受けた、②上司とのトラブル、③同僚とのトラブル、④部下とのトラブルのどれかとして評価していました(精神障害の労災とパワハラ参照)。

 精神障害の認定基準が改定され、具体的出来事に、パワハラが明記されるようになりました。なお、具体的出来事のパワハラに該当しない対人関係のトラブルは、従前と同様、対人関係の各具体的出来事として扱われます。

精神障害の労災認定基準におけるパワハラの心理的負荷の強度

 精神障害の労災認定基準では、具体的出来事の「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」ことの心理的負荷の強度はⅢとされています。つまり、パワハラを心理的負荷の強度が最も強い類型として扱っています。

 認定基準の「上司等」には、同僚又は部下でも、業務上必要な知識や豊富な経験を有していて、その人の協力が得られなければ業務の円滑な遂行を行うのが困難な場合や、同僚又は部下からの集団による行為で抵抗・拒絶することが困難な場合も含まれます。

パワハラの心理的負荷の総合評価の視点

 パワハラの心理的負荷を評価する視点として、以下の点が挙げられています。

パワハラの心理的負荷を評価する視点

①指導・叱責等の言動に至る経緯や状況

②身体的攻撃、精神的攻撃等の内容、程度等

③反復・継続など執拗性の状況

④就業環境を害する程度

⑤会社の対応の有無及び内容、改善の状況

パワハラで心理的負荷の強度が「強」になる場合

 以上を踏まえて、認定基準が心理的負荷の強度が「強」になる具体例として、以下のような出来事を挙げています。具体例からわかるように、非常にひどいパワハラでなければ、パワハラのみで労災と認定されることはありません。

パワハラの心理的負荷の強度が強となる例

①上司等から治療が必要なほどの暴行等の身体的攻撃を受けた場合

②上司等から暴行等の身体的攻撃を執拗に受けた場合

③上司等から以下のような精神的攻撃を執拗に受けた場合

 (1)人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない又は業務の目的を大きく逸脱した精神的攻撃

 (2)必要以上に長時間にわたる厳しい叱責、他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責など、態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃

④心理的負荷の強度が「中」程度の身体的攻撃、精神的攻撃を受け、会社に相談しても適切な対応がなく、改善されなかった場合

パワハラで心理的負荷の強度が「中」になる場合

 上司等による以下の身体的攻撃、精神的攻撃が行われ、行為が反復・継続している場合は、心理的負荷の強度は「中」とされます。

 ①治療が不要な程度の暴行による身体的攻撃

 ②人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない又は業務の目的を逸脱した精神的攻撃

 ③必要以上に長時間にわたる叱責、他の労働者の面前における威圧的な叱責など、態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃

パワハラで心理的負荷の強度が「弱」になる場合

 上司等による「中」に至らない程度の身体的攻撃、精神的攻撃が行われた場合は、心理的負荷の強度は「弱」とされます。


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