業務による心理的負荷の評価

 精神障害の労災認定基準では,業務による強い心理的負荷があったかどうかを①特別な出来事があったか,②具体的出来事に当てはめるという形で評価します。

 精神障害の発症に長時間労働が影響することは知られています。では,労災認定基準において,長時間労働はどのように扱われているのでしょうか?

長時間労働が心理的負荷として,どう影響するのか?

 まず,長時間労働が心理的負荷にどう影響するのか?ということを見ておきましょう。主に次の3つの影響が考えられるでしょう。

 ①長時間労働が続くこと自体による心理的負荷

 ②長時間労働が続くことによって疲労が蓄積し,他の出来事に対するストレス耐性が弱くなる

 ③長時間労働を余儀なくされるというストレス変化に対応できない

労災認定基準における長時間労働の取扱い

 精神障害の労災認定基準では,長時間労働を①出来事そのものとして評価する場合,②総合判断において心理的負荷の強度を強める要素とする場合として扱っています。

長時間労働を出来事として評価する場合

 (1)発病前1か月間におおむね160時間以上の時間外労働を行った

 (2)発病前3週間におおむね120時間以上の時間外労働を行った

 (3)発病前の連続した2か月間に1か月当たりおおむね120時間以上の時間外労働を行った

 (4)発病前の連続した3か月間におおむね1か月当たり100時間超の時間外労働を行った

 (1)と(2)は,特別な出来事に該当し,それだけで,業務による強い心理的負荷があったと判断されます。(3),(4)の場合は,業務内容が通常その程度の労働時間を要するものであれば,心理的負荷の強度は「強」と判断されます。

長時間労働を総合評価で心理的負荷の強度を強める要素とする場合

 恒常的な長時間労働があった場合,出来事の心理的負荷の強度が「中」であっても,総合評価が「強」になる場合があります。恒常的な長時間労働とは,発病前6か月間に1か月当たりおおむね100時間以上の時間外労働です。

 恒常的な長時間労働は,発病前6か月間のどこか1か月でおおむね100時間以上の時間外労働があれば足ります。恒常的な長時間労働と出来事との関連性は必要ありません。恒常的な長時間労働と出来事の前後についても問いません。