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単身赴任と通勤災害の労災認定


単身赴任している労働者が、赴任先の住居と帰省先の住居との往復する場合、通勤災害の対象となります。

赴任先住居と帰省先住居の往復

 単身赴任している労働者が、赴任先の住居と帰省先の住居との往復する場合は通勤災害の対象になります。

 労災保険法7条2項3号は、「住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定めるものに限る)」と規定しています。

先行と後続

 通勤災害の対象となるのは、赴任先住居と赴任先の就業の場所との間の往復に先行する移動と後続する移動です。たとえば、週末を帰省先住居で過ごし、就業のために赴任先住居に移動することは、「先行する移動」に当たります。また、週末の就業後に赴任先住居に戻ってから帰省先住居に移動する場合が「後続する移動」です。

 労災保険の対象となる通勤災害は、就業関連性があることが必要です。

にゃソラ

就業関連性については、以下の記事参照

通勤災害と就業関連性

通勤災害の要件の内、就業関連性を解説します。

 先行する移動、後続する移動が、住居と就業の場所との往復から長時間経過すると就業関連性が認められないことがあります。

平成18年3月31日基発331042号

 どのくらいの時間が経過すると、就業関連性が失われるか?について、厚労省の通達があります。通達の内容は次のとおりです。

就業関連性が認められる場合

(1)赴任先住居から帰省先住居への移動で、勤務日当日またはその翌日に行われたもの

(2)帰省先住居から赴任先住居への移動で、勤務日当日またはその前日に行われたもの

 (1)と(2)については、就業関連性が認められるとされています。交通機関の状況等によって、合理的理由があるときに限って、(1)は前々日以前、(2)は翌々日以後に行われた場合も就業関連性が認められるとされています。

労災保険規則の概要

 前述のとおり、赴任先住居と帰省先住居との往復が、通勤災害の対象になるのは、厚労省令に定めるものに限定されています。そして、労災保険規則7条1号は、「転任に伴い、当該転任の直前の住居と就業の場所との間を日々往復することが当該往復の距離等を考慮して困難となったため住居を移転した労働者」であり、やむを得ない事情により配偶者等と別居することになった場合と規定しています。

転任とは?

 使用者の業務命令により、就業場所が変わることを指します。事業場自体の移転も含みます。また、日々往復することが困難な距離とは、徒歩区間を含めて60キロメートル以上とされています。

配偶者と別居するやむを得ない事情

 配偶者と別居するやむを得ない事情とは、以下のとおりです(労災保険規則7条1号イ~ホ)。

配偶者と別居するやむを得ない事情

①配偶者が要介護状態にある労働者または配偶者の父母または同居の親族を介護すること

②配偶者が在学中の同居の子を養育すること

③配偶者が引き続き就業すること

④配偶者が労働者または配偶者の所有に係る住宅を管理するため、引き続き当該住宅に居住すること

⑤その他配偶者が労働者と同居できないと認められる①~④に類する事情

 なお、労働者に配偶者がいない場合、この要件は、子と別居するやむを得ない事情(労災保険規則7条2号)に、配偶者も子もいない場合は、要介護状態にあり、かつ、労働者が介護していた父母または親族と別居するやむを得ない事情(労災保険規則7条3号)になります。


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