労災の業務上疾病の内、超音波による手指等の組織壊死の労災認定を取上げます。
超音波による手指等の組織壊死
労基法施行規則は、超音波による手指等の組織壊死を業務上疾病として、例示列挙しています(別表第1の2第2号の12)。
超音波障害が発生しやすい業務
超音波は、可聴域を超えた高い周波数をもつ音波です。16キロヘルツ以上の音波を一般に超音波と呼んでいます。
一般に認められている超音波障害は、主として空気伝搬の低周波の超音波のエネルギーによるものです。
人が聞き取ることのできる音波の上限は16キロヘルツと言われています。他方、現在、2,000メガヘルツ程度の音波を発生させたり、測定したりすることが可能となっています。工業用、医学用に用いられているのは、音波領域に近いものから100メガヘルツ程度のものがあります。
超音波障害が発生しやすい作業として、以下のものを挙げることができます。
超音波障害が発生しやすい作業
①プラスチック溶着等超音波作業溶着作業
②超音波洗浄装置、超音波診断装置等を取扱う作業
③超音波を用いて行う通信、計測等の作業
超音波による手指等の組織壊死
超音波を手指等に受けると、最初は皮膚等に直接、障害を与えず、痺れが生じます。数日後に皮膚が乾燥し、指肉部等の内部組織が完全に壊死するに至ります。
労災の認定
超音波による手指等の組織壊死の労災認定について、以下の点に留意するようされています。
超音波による手指等の組織壊死の労災認定における留意事項
①業務内容と従事期間
②発症までの時間的関係、症状経過
③当該症状の特有な発生状況、臨床所見
④当該作業における類似症状を呈する患者の有無
⑤同様の症状を呈する他の疾病の存否と鑑別