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高気圧作業による疾病の労災認定基準


労災の業務上疾病の内、高気圧作業による疾病の労災認定基準を取上げます。

高気圧による疾病

 労基法は、業務上疾病として「高圧室内作業又は潜水作業に係る業務による潜函病又は潜水病」を規定しています(労基法施行規則別表第1の2第2号の6)。

 潜函病・潜水病が労災と認定されるには、一般的認定要件と医学的診断要件を充足している必要があります。

一般的認定要件

 一般的認定要件は、以下の3つです。

一般的認定要件

(1)業務の態様及び従事期間からみて当該業務が疾病の発生原因とするに足りること

(2)当該疾病に特有な症状又は医学経験則上通常起こり得ると認められる症状を呈していること

(3)業務以外の他の原因によるものではないこと

医学的診断要件

 医学的診断要件は、次の4つです。

医学的診断要件

(1)異常気圧下において作業を行った事実の有無及び気圧の程度の把握

(2)作業時間と減圧時間との関係の把握

(3)定型的症状の発現及び潜函病等の場合、再圧タンク治療による症状の寛解状態によって診断し得る

(4)他の疾病との鑑別診断

 ①関節部のレントゲン撮影

 ②再圧タンク治療等によって各種慢性関節炎、メニエール病、高血圧及び軽度卒中による半身不随等との鑑別

高気圧作業による疾病の認定について(昭和36年5月8日基発415号)

 潜函病、潜水病、その他高気圧作業による疾病の認定に関する通達です。潜函病・潜水病以外の疾病については、「これらの疾病に付随する疾病その他物理的因子にさらされる業務に起因することの明らかな疾病」として扱われます。

潜函病・潜水病

 高気圧作業に従事している労働者が、概ね1.05kg/㎠又は水深10メートル以上の高気圧下における作業により、減圧中又は減圧後において、次のいずれかの症状が出現し、医学上療養が必要と認められることが必要です。

潜函病・潜水病の症状

①関節痛、筋肉痛等の運動器障害

②知覚障害、運動障害、膀胱直腸障害、メニエール病、失語症又は症候性精神病等(中枢神経系の障害)

③胸骨下疼痛、呼吸困難又は失神等チョーク又はショック症状(呼吸循環系の障害)

聴器、副鼻腔の障害

 高気圧作業者が、概ね0.3kg/㎠又は水深3メートル以上の高気圧下における作業により主として加圧時において聴器、副鼻腔等に疼痛を生じ、かつ、減圧後において、次のいずれかの症状が出現し、医学上療養が必要と認められることが必要です。

減圧後の聴器、副鼻腔の障害の症状

①耳閉塞感、耳痛、聴力障害、耳鳴り、めまい又は悪心等が訴えられ、さらに他覚的には鼓膜の高度の陥凹若しくは穿孔又は耳出血等(聴器の障害)

②前頭部痛が訴えられ、さらに他覚的には鼻腔粘膜の腫大充血又は漿液性分泌物が認められるもの(副鼻腔の障害)

 ②の場合は、基礎疾患又は既存疾病がある場合が多いので、当該作業による加圧又は減圧が原因となって異常に早期に発症又は急激に憎悪したことが専門医の検査で医学的に認められることが必要です。

歯牙疾患

 高気圧作業者が、概ね0.3kg/㎠又は水深3メートル以上の高気圧下における作業により加圧又は減圧時において歯牙又は歯周組織に疼痛を生じ、かつ、減圧後において、歯髄膜炎、歯周組織炎又は歯肉炎等の急性症状が残存し、医学上療養が必要と認められることが必要です。

過膨張による肺破裂

 高気圧作業者が、概ね0.3kg/㎠又は水深3メートル以上の高気により急激な減圧又は浮上中及びその直後に発生した肺破裂とこれに伴う空気栓塞症又は気胸であることが必要です。

潜水墜落病

 潜水作業中に、体表に不平均に圧が加わったことにより発生した高度の頭部・顔面部のうっ血、浮腫、皮下粘膜の出血又は眼球突出若しくは呼吸困難等の症状が出現したことが必要です。


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