業務上疾病の労災認定に当たって、どのような調査が行われますか?
業務上疾病の労災認定のための調査
業務上疾病の労災認定に当たっては、業務と疾病との間の相当因果関係の有無を判断する必要があります。そのためには、労働者が業務遂行中に受けた有害因子へのばく露の状況を明らかにする必要があります。
業務上疾病の労災認定に当たり行われる基本的な調査事項は、以下の3つです。
業務上疾病の労災認定に際して行われる基本的な調査事項
①労働者の従事した業務にどのような有害因子があるか?
②労働者が有害因子にどの程度ばく露されたか?
③労働者のり患した疾病が、どのような経過でどのような症状を示したか?
有害因子のばく露に関する調査
業務上疾病は、労働者が業務に従事し、有害因子にばく露されることによって生じます。したがって、有害因子のばく露の状況を把握することが必要です。
その具体的な調査事項は、以下のようなものがあります。
職歴
有害因子のばく露の全体を確認するために把握する必要があるのが職歴です。原則として、初めて雇用された事業場から疾病を発症するまでに雇用された事業場を把握します。
雇用期間だけでなく、疾病の原因になり得る有害因子のばく露の有無と有害因子のばく露作業の従事歴が重要になります。
労働時間
労働時間は有害因子のばく露期間の要素となっていて、ばく露の程度の評価に当たって重要です。
所定労働時間、交替勤務・夜勤の有無、休憩・休日・時間外労働等を調査することになります。有害因子のばく露が断続的な場合は、具体的内容等を把握する必要があります。
作業内容
有害因子のばく露の有無の確認とともに、どのような形態で有害因子にばく露されたかを把握する上で作業内容は重要です。
作業工程全体の把握に加え、作業方法、使用設備機械、原材料、中間生産物、副産物、製品、これらの物の有害性の有無・量を調査します。
作業環境
有害因子のばく露の程度を把握する基礎資料となることが多いのが、作業環境です。
予防措置の状況
作業環境の測定が実施されない場合など、ばく露の程度を示す資料が不十分な場合は、有害因子のばく露の程度を軽減する予防措置が間接的な資料となります。
業務以外の原因
業務上疾病の中には、業務以外の原因で類似の症状が見られる疾病が存在します。また、職業的原因と非職業的原因が競合して発症する疾病もあります。
適切な認定のために、業務以外の原因の有無と程度について調査されます。
疾病の発生状況
災害的な出来事に基づき生じる負傷に起因する疾病、化学物質による急性中毒等の災害性疾病は、どのような状況下で発生したか?を調査し、有害因子にどのようにばく露したのか?を把握することが重要です。