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地下作業による眼球震盪症の労災認定基準


労災の業務上疾病の内、地下作業による眼球震盪症の労災認定基準を取上げます。

地下作業による眼球震盪症

 労基法施行規則は、業務上疾病を例示列挙しています(別表第1の2)。例示列挙されている疾病以外でも、物理的因子によるさらされる業務に起因することが明らかな疾病は、業務上疾病として扱われます。

にゃソラ

以下の「労災と業務上疾病」も参照

労災と業務上疾病

労災というと、仕事中の事故によるけがをイメージします。職業病ともいわれる業務上疾病も労災の対象です。

 地下作業による眼球震盪症は、その一例です。

地下作業による眼球震盪症が発生しやすい業務

 職業病としての眼球震盪症は、坑内作業員に発生する特異な疾病です。発生原因としては、坑内の照明不良・上方注視の努力・空気不良・ガス中毒にあると言われています。通常、眼球震盪症は、坑内経験年数が5年~30年以上の労働者に発生します。作業年数が長いほど、発生率が高いと言われています。

眼球震盪症

 眼球震盪症の症状としては、眼球の上下左右への震動・回転です。初期は眼の疲労を訴え、物を注視すると回転するように感じられます。暗所で上方を注視させると、眼振が現れ、正面を注視すると消失します。症状が進行すると、明るい所で正面視したときにも眼振が見られます。

 震盪の回数は、1分間で190~200回ほどが一般的です。視力は平常時にはほとんど障害はありませんが、震動時は著しく減退します。

 自覚症状としては、眩光、めまい、頭痛、凝視不能などが見られます。症状は、常に両眼に見られます。

業務上外の認定

 地下作業による眼球震盪症の労災認定には、一般的認定要件と医学的診断要件を満たす必要があります。

一般的認定要件

 一般的認定要件とし、以下の3つを挙げることができます。

地下作業による眼球震盪症の労災認定における一般的認定要件

①業務態様、従事期間からみて当該業務が疾病の発生原因とするに足りること

②当該疾病に特有又は医学経験則上通常起こり得ると認められる症状が見られること

③業務以外の他の原因によるものではないこと

医学的診断要件

 医学的診断要件として、以下のものが挙げられます。

地下作業による眼球震盪症の労災認定における医学的診断要件

(1)地下作業に従事した期間・作業条件の態様の把握

(2)臨床検査項目

 ①実験的眼振(回転性、温度性、電流性)検査

 ②その他の前庭機能検査

(3)他の疾病との鑑別診断

 梅毒、動脈硬化、てんかん、ヒステリー、神経衰弱、外傷性ノイローゼ、頭部外傷、耳の手術の既往症の有無等に注意し、鑑別を行うとされています。


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