労働災害が労災と認定されるには,業務遂行性があることを前提に,業務起因性があることが必要です。災害の中には,原因がわからないというケースが存在します。そのような場合,労災と認定されることはないのでしょうか?

原因不明の災害の労災認定の基本的な考え方

 災害の発生原因が不明な場合,まずは,関節的な事実関係等に基づいて,経験則上最も合理的な説明のできる推論を構築します。そして,災害と業務との間に業務起因性が認められれば,労災と認定されます。

 この推論において,業務起因性の有無が,どちらにも等しく推論できる場合には,業務起因性があることは労働者に立証責任があるので,業務起因性はないと判断されます。

死因が不明な場合

 上記の考え方は,災害の発生原因が不明な場合の考え方です。死因が医学的に不明な場合は,死亡と業務との間の因果関係を説明することができないので,業務起因性を推論できる余地はないとされています。

死亡の推定と労災の認定

 労働者が死亡した場合,各種法律に従って,特別に法律関係が処理されることがあります。各種法律による以下の取扱いがなされた場合,労働者の生死が不明又は行方不明となった際・死亡したと認められる際に,業務遂行性があったと推定される場合は,業務起因性について反証がない限り,労災と認定されます。

失踪宣告

 ある人の生死が7年間不明な場合,利害関係人の請求により家庭裁判所が6か月以上の公示催告をした上で,失踪宣告を行います。失踪宣告がなされた場合,失踪期間の満了日の午後12時に死亡したとみなされます。

死亡の推定

 船舶の沈没・転覆・滅失・行方不明や航空機の墜落・滅失・行方不明になった際に現に船舶・航空機に乗っていた労働者の生死が3か月間不明である等の場合,労災保険の遺族補償給付の支給については船舶・航空機の沈没等により行方不明者なった日に,その労働者は死亡したものとみなされます。

死亡の認定

 天変地異等によって死亡したことが明らかである者について,死体の確認ができない場合,所轄行政庁が死亡を認定し,市町村長に報告することで死亡の取扱いがなされます。