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振動障害の労災認定


業務上疾病の一つである振動障害の労災認定基準を取り上げます。

振動障害

 振動障害は、当初、チェーンソーを取り扱う労働者の振動障害に関する労災認定の基準として通達が出されました。

 その後、チェーンソー以外の振動工具による振動障害全般の認定基準に改正され、現在に至ります。

振動障害の認定基準について(昭和52年5月28日基発307号)

 削岩機・鋲打機・チェーンソー等の振動工具を取り扱うことにより、身体局所に振動ばく露を受ける業務に従事する労働者に発生した疾病で、次の要件を満たし、療養を要すると認められるものは労災と認定されます。

振動障害が労災と認められる要件

Ⅰ 振動業務に相当期間従事した後に発生した疾病

Ⅱ 次に掲げる要件のいずれかに該当する疾病

 (1)手指、前腕等にしびれ、痛み、冷え、こわばり等の自覚症状が持続的又は間けつ的に現われ、かつ、次に掲げる障害のすべてが認められるか、又はそのいずれかが著名に認められる疾病

  ①手指、前腕等の抹消循環障害

  ②手指、前腕等の抹消神経障害

  ③手指、前腕等の骨、関節、筋肉、腱等の異常による運動機能障害

 (2)レイノー現象の発現が認められた疾病

振動業務

 圧搾空気を動力源又は内燃機関、電動モーター等の動力により駆動される工具で身体局所に著しい振動を与える振動工具を取扱う業務をいいます。

 認定基準では、以下のような18種類の振動工具を例示しています。

認定基準が例示する振動工具

削岩機、チッピングハンマー、鋲打機、コーキングハンマー、ハンドハンマー、ベビーハンマー

コンクリートブレーカー、スケーリングハンマー、サンドランマー、チェーンソー、ブッシュクリーナー

エンジンカッター等

相当期間

 認定基準の相当期間とは、おおむね1年又はこれを超える期間をいいます。

 相当期間に満たない場合でも、振動工具の使用期間が長い場合、休憩時間又は休止時間が少ない場合、未整備の振動工具を使用している場合、未熟練のため振動工具を過度の握力により保持している場合等には振動障害が起こり得ると考えられるので、個別に業務起因性の判断がなされます。

 業務起因性の判断には、次の事項に留意して判断するように規定されています。

業務起因性の判断に際しての留意事項

(1)振動工具の1日当たりの使用時間数、1か月当たりの使用日数、使用月数、連続使用時間数、延使用時間数、寒冷期における使用頻度、休憩時間又は休止時間とその配分

(2)振動工具の種類、振動の加速度、振動数・振幅、振動工具の重量、整備状況

(3)作業環境、作業姿勢、作業熟練度、保護具の使用状況

レイノー現象

 レイノー現象は全身が寒冷にさらされ、冷感を覚えたとき等に、手指血管の攣縮発作により、手指が発作的に蒼白となる現象のことです。振動障害に最も特徴的な症状であるので、レイノー現象の発現が確認されれば、それだけでこの要件を満たすことにしています。

抹消循環障害・末梢神経障害・運動機能障害

 検査によって以下の点について確認することとされています。

抹消循環障害

 ①手指の皮膚温

 ②爪圧迫

末梢神経障害

 ①痛覚

 ②指先の振動覚

運動機能検査

 ①握力

 ②維持握力

 ③つまみ力

 ④タッピング

 ⑤骨、筋肉、腱等の検査


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