高熱物体による熱傷の労災認定基準

労災の業務上疾病の内、高熱物体を取扱う業務による熱傷の労災認定基準を取上げます。

高熱物体を取扱う業務による熱傷

 高熱物体を取り扱う業務による熱傷は、労災の業務上疾病と規定されています(労基法施行規則別表第1の2第2号8)

 高熱物体とは、鉱石等の溶融物・火焔・熱湯・高温の蒸気等の高温の物体のことを指します。

 高熱物体を取扱う業務としては、金属工業に多く、以下のような業務が挙げられます。

 ①金属精錬・製鉄・製板・鍛冶等の溶融圧延金属の取扱作業員

 ②ボイラー室作業者

 ③窯業その他火炉を有する作業場等の溶融又は灼熱した鉱物、煮沸されている液体等の高熱物体を取扱う業務

熱傷

 熱傷とは,火傷のことです。以下の4段間に区分されています。第二度以上の熱傷は療養が必要とされています。

第一度(紅斑性熱傷)

 発赤と軽度腫脹を来し,灼熱感を伴う最も軽度の熱傷で,組織壊死は見られない

第二度(水疱性熱傷)

 水疱が形成される熱傷

第三度(壊死性熱傷)

 皮膚,皮下組織,深部組織が熱のため壊死に陥り焼痂を形成し,ケロイド状瘢痕を残すもの

第四度

 組織が炭化するもの

熱傷の労災認定基準

 高熱物体による熱傷が労災と認定されるには,①一般的要件と②医学的診断要件を充足していることが必要です。

一般的要件

 上記の熱傷のうち,療養が必要なものが業務上疾病として扱われます。熱傷の業務上外の認定は,作業環境条件・取扱物体・職種・発生部位・高熱物体との接触状況・症状の程度から判断します。

医学的診断要件

 熱傷の発症原因となった突発的出来事等の態様又は作業環境条件等を把握した上で,視診によります。