マイクロ波による眼疾患の労災認定基準について取上げます。

マイクロ波による眼疾患

 労基法施行規則は,マイクロ波にさらされる業務による白内障等の眼疾患を業務上疾病として例示列挙しています。

マイクロ波ばく露により眼疾患が発生しやすい業務

 マイクロ波は,明確な定義はありませんが,周波数300メガヘルツから30万メガヘルツまでの電磁波を表す言葉として用いられています。

 マイクロ波は,通信,医療,木材等諸種の乾燥・殺菌,調理用と広く用いられています。出力が1キロワットを超えるレーダーのような場合,アンテナから200~300メートル離れていても熱作用があり,低い出力でも人体へ影響すると言われています。

 マイクロ波の生物学的作用の主要なものは,生体に電磁波として吸収されたエネルギーが熱に変換することによるものと言われています。人体の体表面は体深部より知覚神経が豊富に分布しています。マイクロ波が主として体表面に吸収されると,早期に気づくことができますが,深部に吸収される波長の場合は,気づいたときには,障害を受けていることがあります。1000メガヘルツ~1万メガヘルツのマイクロ波は白内障を引き起こすと言われています。

 マイクロ波に被ばくにより,障害が起きやすい作業としては,次のものを挙げることができます。

 (1)レーダー作業

 (2)家具等のベニヤ板の接合作業

 (3)食料品製造,調理作業

 (4)プラスチック加熱溶着作業

 (5)ゴム製品,織物等の乾燥作業

 (6)化学,医学等のマイクロ波取扱作業

 (7)電子レンジの操作,補修等の作業

眼疾患

 強いマイクロ波は,眼の水晶体に吸収され,熱作用で眼球の温度上昇を引き起こし,水晶体後嚢の不透明,白内障を引き起こします。眼の水晶体に最も感受性の高い波長は3000メガヘルツと言われています。

労災認定基準

 マイクロ波による眼疾患が労災と認定されるには,一般的認定要件を充足していることが必要です。また,医学的診断要件が要求されています。

一般的認定要件

 一般的認定要件は次の4つです。

 (1)当該作業条件,作業従事期間等からその有害程度が当該疾病発生原因とするに足りること

 (2)当該疾病に特有な症状又は医学的経験則上,通常起こり得ると認められる症状が出現していること

 (3)業務に起因しない他の原因によるものでないこと

 (4)医学上療養が必要と認められる症状であること

医学的診断要件

 マイクロ波の波長と被ばく時間,視力・眼底検査等臨床検査が医学的診断要件とされています。