労災の業務上疾病の内、マンガン又はその化合物による疾病の労災認定基準を取上げます。
マンガン又はその化合物による疾病
マンガン又はその化合物による疾病は、業務上疾病として列挙されています(別表第1の2第4号の1)
マンガン等にばく露する主な業務
マンガン等にばく露する主な業務としては、マンガン鉱の採掘・マンガンの精錬・フェロマンガンの製造・乾電池の製造・溶接棒の製造・マンガン化合物の製造等が挙げられます。
マンガン又はその化合物による疾病の認定基準について(昭和58年1月5日基発第646号)
マンガン又はその化合物による疾病については、この認定基準に従って、労災認定が行われます。
認定基準
マンガン等にばく露する業務に従事しているか、又は従事した労働者に発生した疾病であって、次のいずれにも該当する場合は、労災と認定されます。
マンガン又はその化合物による疾病が労災と認定される要件
(1)精神・神経症状を示す疾病で以下の要件を満たすもの
①相当の濃度のマンガン等を含む粉じん、ヒューム等にばく露する業務に一定期間にわたり従事し、又は従事したことのある労働者に発生したもの
②初期には神経衰弱様の症状などが現われ、その後錐体外路症候(パーキンソン症候群様症状)を中核とした多彩な精神症状が、進行性に出現してくるものである
③上記の症状及び症候がマンガン等以外の原因によって発症したものでないと判断されるもの
(2)肺炎で以下の要件を満たすもの
①高濃度のマンガン等を含む粉じん、ヒューム等にばく露する業務に従事中又は当該業務を離れた後、比較的短期間に発症した急性肺炎である
②肺炎がマンガン等以外の原因によって発症したものでないと判断されるもの
マンガンの濃度
認定基準のいう相当の濃度とは、マンガン(Mn)としておおむね 5mg/㎡以上の濃度とされています。高濃度とは、相当の濃度を著しく上回る濃度を意味し、おおむね数倍以上とされています。