ニトログリコール中毒症の労災認定基準を取上げます。

ニトログリコール中毒症の認定についてについて(昭和36年5月29日基発第489号)

 ニトログリコール中毒症については,この認定基準に従って,労災認定が行われます。

ニトログリコール中毒症が発生しやすい業務

 膠質又は粉状ダイナマイトの製造を行なう事業場において,ニトログリコール中毒症が発生することがあります。

認定基準

 ニトログリコールを取り扱い,あるいはそれらのガス蒸気若しくは粉じんに曝される業務に従事しているか又は当該業務を離れて後概ね数日以内の労働者が,以下のいずれかに該当する症状を呈し,医学上療養が必要であると認められる場合は,労災と認定されます。

 (1) 狭心症様発作を起こし,次の自覚症状の全部又は一部及び他覚所見の全部又は一部の症状が認められ,かつ,ニトログリコール以外の原因による器質的心臓疾患(心弁膜症,冠疾患,心筋障害,心衷疾患)により発病したものでない

 ①自覚症状として,胸部圧迫感,胸内苦悶,四肢の脱力感又は冷感,頭痛,悪心,嘔吐等が挙げられています。

 ②他覚所見として,脈搏及び血圧の異常,顔面蒼白又は紅潮,チアノーゼ,四肢末端の冷却,失神等が挙げられています。

 (2) 以下のいずれかの他覚所見が認められるものであって,現在又は作業に従事して以後の既往の期間において,心臓症状,又は四肢の末端(特に手指)のしびれ等の症状が見られる

 ①血液1立方ミリメートル中赤血球数が常時男子400万個,女子350万個未満であるか,又は全血比重が男子1.052,女子1.049未満であるか,若しくは血色素量が血液1デシリットル中男子12.0グラム,女子10.5グラム未満であって,これらの貧血徴候が血液疾患,寄生虫症(十二指腸虫等)若しくは出血その他二卜ログリコール以外の原因によるものでない

 ②ニトログリコール作業従事期間の経過中に低血圧(最大血圧100ミリメートル水銀柱以下のもの)を呈した

 ③肝臓機能(色素排泄,蛋白代謝,胆汁色素代謝のうち二項目以上)に明らかに障害が認められるものであって,この徴候の原因が流行性肝炎,胆石症,その他二トログリコール以外の原因によるものでない

ニトログリコール作業者が死亡した場合

 ニトログリコール作業者が死亡した場合,以下のいずれかに該当すると医学上認められる場合は,労災と認定されます。

 ①認定基準(1)によって,死亡したと認められる

 ②死体解剖所見によりニトログリコール中毒によるものと認められる

 ニ卜ログリコール作業者が狭心症様発作を起こし死亡した場合においても,必ずしも業務との因果関係が判明しないものがあるので,できるだけ死体解剖を行なわせ,これによって判定するよう配慮することとされています。