労災の業務上疾病の内、脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物(芳香族化合物のニトロ又はアミノ誘導体を除く。)又は複素環式化合物のうち有機溶剤として用いられる物質による疾病の労災認定基準を取上げます。
- 1. 脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物(芳香族化合物のニトロ又はアミノ誘導体を除く。)又は複素環式化合物のうち有機溶剤として用いられる物質による疾病の認定基準について(昭和51年1月30日基発122号)
- 1.1. 認定基準
- 1.1.1. (1)以下の自覚症状のいずれかが常時又は持続的に訴えられるもの
- 1.1.2. (2)以下の皮膚又は粘膜の症状のいずれかが認められるもの
- 1.1.3. (3)以下の神経、筋、感覚器症状のいずれかが認められるもの
- 1.1.4. (4)健忘、幻覚、意欲減退、痴呆などの精神障害が認められるもの
- 1.1.5. (5)以下の血液所見のいずれかが認められるもの
- 1.1.6. (6)肝機能検査で明らかな異常が認められるもの
- 1.1.7. (7)腎機能検査で明らかな異常が認められるもの
脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物(芳香族化合物のニトロ又はアミノ誘導体を除く。)又は複素環式化合物のうち有機溶剤として用いられる物質による疾病の認定基準について(昭和51年1月30日基発122号)
脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物(芳香族化合物のニトロ又はアミノ誘導体を除く。)又は複素環式化合物のうち有機溶剤として用いられる物質を取り扱う労働者に発症した疾病は、この認定基準に従って、労災認定が行われます。
認定基準
相当量のベンゼン又はその同族体、アセトン又はその他の溶剤に相当期間にわたり、繰り返しさらされる業務に従事しているか、又は、その業務から離れた後おおむね6か月未満の者であって、以下の(1)の自覚症状に加えて、(2)~(7)のいずれかに該当する症状を呈し、医学上療養が必要であると認められ、かつ、ベンゼン又はその同族体、アセトン又はその他の溶剤以外の原因により発病したものでないと判断されるものは、労災と認定されます。
(1)以下の自覚症状のいずれかが常時又は持続的に訴えられるもの
頭重・頭痛・めまい・焦燥感・不眠・もの忘れ・不安感・しびれ感・倦怠感・心悸こう進・食欲不振・悪心・嘔吐・胃痛・腹痛・皮膚又は粘膜の局所症状
(2)以下の皮膚又は粘膜の症状のいずれかが認められるもの
①急性又は慢性皮膚炎(乾燥性、落屑性、亀裂性など)
②爪炎、爪囲炎
③結膜炎、角膜炎
④鼻炎等の上気道の炎症
(3)以下の神経、筋、感覚器症状のいずれかが認められるもの
①四肢の知覚障害、運動障害又は筋萎縮
②視力減退、視野・色視野の狭窄などの視神経障害又はその他の脳神経障害
③中枢神経障害(例えば、脳波の明らかな異常)
(4)健忘、幻覚、意欲減退、痴呆などの精神障害が認められるもの
(5)以下の血液所見のいずれかが認められるもの
①常時貧血があること
②常時白血球減少があること
③鼻出血、歯肉出血などの粘膜又は皮膚における出血傾向があるかあるいは著しく血小板が減少していること
(6)肝機能検査で明らかな異常が認められるもの
(7)腎機能検査で明らかな異常が認められるもの
業務により大量もしくは濃厚なベンゼン又はその同族体、アセトン又はその他の溶剤にさらされて意識障害、歩行障害等の中枢神経障害、呼吸器障害その他の急性中毒症状もしくはその続発症を起したものは、労災と認定されます。